Jorge Zalszupin

Jorge Zalszupin

ジョルジ・ザウスピン

1922 - 2020

ポーランド・ワルシャワ生まれ。

ジョルジ・ザウスピンは、ブラジル・モダニズムを代表するデザイナーとして知られています。ポーランド生まれながら、ブラジルを第二の故郷とし、同国のデザイン史に多大な貢献を果たしました。

ザウスピンは18歳でナチス占領から逃れ、ブカレストに移住。1944年にルーマニアの建築学科を卒業後、第二次世界大戦後の再建事業に従事するためフランスで建築家としてキャリアを開始しました。1949年、ブラジルへ移住し、政治的・文化的に近代化が進むこの国に大きな可能性を見出しました。

移住後、ザウスピンはオスカー・ニーマイヤーやルシオ・コスタといったモダニズムの巨匠たちと関わり、特にニーマイヤーとのコラボレーションが彼の美学に大きな影響を与えました。この時期、ブラジルのモダニズム建築の形成が進む中で、ザウスピンはその精神を家具デザインに取り入れ、独自のスタイルを築きました。

リオデジャネイロ到着後10年足らずで、ザウスピンは建築事務所「Escritório Téchnico Prumo」を設立。輸入家具が制限されていたブラジルで、彼は高品質な家具を求める需要に応えるため、自ら家具のデザインと製造を手掛けるようになりました。そしてデザインスタジオ兼家具メーカー「L’Atelier」を設立し、国内で高品質なモダン家具を提供しました。

ザウスピンの代表作の一つである「The Poltrona Dinamarquesa」は、ブラジルデザインの象徴とされ、ニーマイヤー建築に見られる曲線美やブラジル独自の素材を反映した官能的なフォルムが特徴です。他にも「Poltronas Presidencial」や「Brasíliana」、「Pétalas」テーブルシリーズなどを手掛け、特に曲げ木技術を活用した家具の製造においてブラジル国内の先駆者となりました。

2020年に98歳で他界したザウスピンは、数々の革新的な家具を生み出し、ブラジルのデザイン界を牽引しました。彼の作品は、最高級の素材を生かしたエレガントでシンプルなデザインが特徴であり、大理石、木材、スチール、プラスチックなど、多様な素材を探求しました。そのミニマリズムの中には官能的な要素が溶け込み、ブラジルモダニズムの象徴としての地位を確立しました。

ザウスピンの遺産は、ETELによる復刻を含め、現在も多くのデザイナーや愛好家に影響を与えています。彼の作品と理念は、時代を超えて継承され、ブラジルデザインの価値を広め続けています。

Jorge Zalszupin Products VIEW ALL