Serge Mouille

Serge Mouille

セルジュ・ムイユ

1922 - 1988

セルジュ・ムイユは1922年12月24日、フランスにて警察官の父と在宅勤務の裁縫師の母との間に3人兄弟の末っ子として生まれました。少年時代、ムイユ一家は祖父母の農場で休暇を過ごすことが多く、彼はそこで自然に深く魅了されました。特にパリの植物園がお気に入りで、植物の複雑な造形やディテールに強い興味を抱きました。葉脈の動きや貝殻の成長、動物の骨格といった解剖学的構造への好奇心は、後に彼のデザインにおける重要な特徴となります。

セルジュ・ムイユのデザインの才能は、当時のデッサン教師によって見出されました。13歳でパリ応用美術学校の入学試験に合格し、同校史上最年少の生徒となった彼は、世界的な彫刻家であるガブリエル・ルネ・ラクロアに師事し、金属加工と銀細工を学びました。1941年に卒業後はラクロアのスタジオで働き、1945年には応用美術学校の教師となり、自身の金属加工スタジオも開設しました。当時、彼の主な仕事は手すりやシャンデリア、壁掛け燭台などの金属加工品のデザインでした。

1953年、ジャック・アドネから照明器具のデザインを依頼されたことをきっかけに、セルジュは照明デザインに専念するようになります。彼のデザインは、動きと彫刻美を兼ね備えた独特なフォルムが特徴で、大型の壁掛けランプや複数アームのスタンド型ランプ、小型で曲線を多用した壁掛け型の照明などを制作しました。特にシェードの形状は女性の体形から着想を得たもので、彼の初期の代表作「スリーアーム・フロアランプ」をはじめとする作品は、「Galerie Steph Simon」で展示され、ジャン・プルーヴェやシャルロット・ペリアンとの交流を深めました。

1955年にはフランスの装飾芸術家協会と国立芸術協会に加盟し、シャルル・プルメ賞を受賞。1958年にはブリュッセル万博で名誉勲章を授与されるなど、照明デザイナーとしての名声を確立しました。この頃から施設の照明デザインにも携わり、アントニー大学やストラスブール、マルセイユの学校、ビゼルト大聖堂などのプロジェクトを手掛けました。

1961年、セルジュは「SCM(Societe de Creation de Modeles)」を設立し、生産体制を刷新するためにフィリップ・ロジェを雇用しました。この頃、蛍光灯を取り入れた「Les Colonnes」シリーズを1962年に発表。従来の黒いフォルムとは一線を画し、純粋な幾何学的モチーフを採用したこの作品は、当時フランスでは受け入れられませんでしたが、後に評価が高まり、「Black Shapes」シリーズと並ぶ代表作となりました。

1963年、セルジュは健康上の理由と教育活動に専念するため、照明器具の製作を終える決断をします。その後も教師として活動を続けましたが、1988年12月24日、自身の66回目の誕生日に他界しました。
 Editions Serge Mouille®は、1999年にセルジュ・ムイユの妻であるジン・ムイユ(Gin Mouille)とクロード・デルピルー(Claude Delpiroux)によって設立された独立したファミリービジネスです。ムイユの初期の弟子の一人であるフレッド・バーンリー(Fred Barnley)の協力を得て、セルジュ・ムイユのデザインした照明作品を、すべてオリジナルのフォルム、寸法、材料、色で忠実に製造しています。セルジュ・ムイユが生前に工業生産に移行することを望んでいなかった為、現在でも職人たちが手作業での製造を続けています。

 Editions Serge Mouille®の製品には、署名付きの証明書が付属されています。この証明書は、お客様がセルジュ・ムイユがデザインしたものと全く同じ哲学で作られたアートピースを手にしたことを保証しています。 セルジュ・ムイユの妻であるジン・ムイユは、2000年から2009年までこの証明書への署名をおこないました。

 2009年から2016年までの間はクロード・デルピルー(Claude Delpiroux)が証明書の署名者となりました。
2016年からは、クロードの息子であるディディエ・デルピルー(Didier Delpiroux)が、新たにすべての証明書の署名者となりました。現在では、年間約1500台の照明が生産され、世界中に流通しています。

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