José Zanine Caldas

José Zanine Caldas

ジョゼ・ザニーネ・カルダス

1919 - 2001

ブラジル・ベルモンテ生まれのジョゼ・ザニーネ・カルダス(1919–2001)は、デザイナー、建築家、彫刻家、そして環境保護活動家として活躍しました。自然や樹木への深い関心から、木材を中心としたデザインを追求し、ブラジルのデザイン史に大きな足跡を残しました。

医師の息子として生まれたザニーネは、幼い頃から自然、特に樹木に魅了されていました。20歳でバイーアからリオデジャネイロに移住し、建築模型の工房を立ち上げます。ここで、ブラジル・モダニズムの巨匠であるルシオ・コスタやオスカー・ニーマイヤーとともに仕事をする機会を得ます。正式な建築学位を持たなかった彼は、実験と独自のアプローチを通じて技術とスタイルを磨き、周囲から高く評価されました。

1948年、ザニーネはサン・ジョゼ・ドス・カンポスで建具会社「Móveis Artístico Z」を共同設立。市場では珍しかったシナ合板を用いた半量産家具を生産し、エレガントで有機的なデザインが新興市場の支持を集めました。同社は「モダンデザインの大型家具を手頃な価格で提供する」というコンセプトを掲げ、ブラジル国内で成功を収めました。

しかし、1950年代初頭、ザニーネは会社を離れ、故郷バイーア州に戻ります。倒木から船や家具を作る職人たちの技術に触発され、彫刻的な大作や丸太を使ったパビリオン型の建築など、彼独自の作品を手がけ始めます。

1980年代、ザニーネはブラジル熱帯雨林の破壊に心を痛め、森林保護を目的とした「DAM(ブラジル木材利用開発財団)」を設立。倒木や廃材を活用することで森林伐採を最小限に抑え、植林活動にも力を注ぎました。彼の言葉には、自然と人間の関係への深い洞察が込められています。

“When I feel that our country is in the midst of an urban consumerist epidemic and is eagerly deprecating the forests, I remember my father: We must cure it.”
「わが国が都市型消費主義の流行に乗り、熱心に森林を軽んじていると感じるとき、私は父を思い出します。私たちはそれを治さなければならない。」

ザニーネの作品は、パリ装飾芸術美術館やブラジル国内で広く展示され、2015年には著名なデザイン展「Moderno」にも収録されました。さらに、アメリカ学会主催の巡回展「Design for Living in Brazil, Mexico and Venezuela 1940–1978」にも出品され、その革新性が国際的にも認知されています。

彼は、自然との共生を重視しながら、家具や建築デザインを通じて社会的な問題解決に取り組みました。木材という素材に深い愛着を持ち、エネルギー源としての可能性を追求するなど、持続可能なデザインの先駆者でもありました。

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