2nd MAY. - 11th MAY. 2026 「ジェフリー・バワ展 – トロピカル・モダニズムの家具」

会期
2026年5月2日(土)-5月11日(月)
休廊日 : 5月5日(火)-5月7日(木)
開催時間
11:30 ~ 18:00(最終入場 17:30)
場所
Vague Archives

ジェフリー・バワ展 - トロピカル・モダニズムの家具



この度、51%五割一分とCASA DEの共催により、近年世界的な再評価が進む建築家ジェフリー・バワの家具に焦点を当てた企画展「ジェフリー・バワ展 ― トロピカル・モダニズムの家具 ―」 を、神戸・旧居留地にある Vague Archives にて開催いたします。

ジェフリー・バワ(1919–2003)は、スリランカを代表する建築家として知られ、豊かな自然を取り込みながら近代建築の理念を熱帯の風土に適応させた「トロピカル・モダニズム」を確立しました。その思想は今日、建築にとどまらず、工芸、ランドスケープ、インテリアに至るまで広く影響を与えています。

本展は、バワが自ら設計した建築のために制作した家具に着目し、世界初となる復刻プロジェクトと連動して開催されるものです。復刻は、ジェフリー・バワ財団およびアトリエに残された図面、スケッチ、プロトタイプをもとに、インド・バンガロールの工房 Phantom Hands が手がけ、現代に新たな命を吹き込んでいます。会場では、復刻された家具作品に加え、バワ財団所蔵の貴重なアーカイブ資料を展示し、バワが追求した空間思想と家具との関係性を紐解きます。

また、制作背景への理解を深めていただく機会として、5月1日(金)にトークイベントを開催いたします。ジェフリー・バワ財団長のChanna Daswatte氏、Phantom Hands創設者のDeepak Srinath氏、Aparna Rao氏をお招きし、生前のバワにまつわるエピソードや、家具再生産プロジェクトの経緯などについて、貴重なお話を伺います。あわせて同日には、オープニングレセプションも開催いたします。(抽選申込制/お申込受付は終了しました)

これまで語られる機会の少なかったバワの家具を通して、そのデザイン理念とスリランカの歴史的背景に触れていただく貴重な機会です。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。
企画展 「ジェフリー・バワ展 -トロピカル・モダニズムの家具-」

会期|2026年5月2日(土)-5月11日(月) 
   *休廊日5月5日(火)-5月7日(木)
   11:30-18:00 (入場17:30まで)

会場|Vague Archives
   兵庫県神戸市中央区海岸通9番2号 チャータードビル3階

主催|株式会社五割一分 / ART MODERN JAPAN 株式会社

企画協力|Geoffrey Bawa Trust / Phantom Hands
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建築と工芸がゆるやかに交差するバワの世界観の背後には、植民地期から独立へと向かうスリランカ(旧セイロン)が模索してきた、文化的アイデンティティの再構築という大きな背景があります。多民族社会が抱える複雑な歴史、仏教文化に根ざした精神性、そして熱帯の風土のなかで培われてきた暮らしの知恵。これらは20 世紀半ば、国家として描かれた新たな方向性と呼応しながら、デザインや建築のあり方に深く影響を与えていきました。

バワはこの歴史的転換期において、西洋近代建築を単に受容するのではなく、島の風景や手工芸、人びとの生活感覚と結び直すことで、独自の文化表現であるトロピカル・モダニズムを形成しました。その思想は、彼が建築のために設計した家具にも静かに息づいています。

©︎Phantom Hands / AD India

【ジェフリーバワの家具再生産プロジェクトについて】

インドの家具工房「Phantom Hands」は、「Geoffrey Bawa Trust」との協働のもと、ジェフリー・バワが1960年代半ばから1990年代半ばにかけて手がけた家具・照明・オブジェクトの再生産プロジェクトを進めてきました。この取り組みは、単に過去のデザインを再現することを目的としたものではありません。むしろ、建築と不可分であったバワの家具を、現代においてどのように読み解き、再び成立させるかという問いから出発しています。

バワの家具の多くは、特定の建築や場所のために設計されたものであり、単体で完結するプロダクトではありませんでした。それらは空間の中に静かに存在し、建築とともに機能する存在であり、決して自己主張するものではなかったといいます。この強い文脈性ゆえに、それらを元の環境から切り離して再生産することは、単なる再現ではなく、新たな意味付けを伴う行為でもあるといえます。さらに、当時のスリランカでは輸入制限などの影響により、素材や製造環境は大きく制約されていました。バワの家具は、そうした条件の中で職人たちとの協働によって生み出されたものであり、プロトタイプも多く存在しました。そのため、現代における再生産においては、当時の不完全さをそのまま踏襲するのではなく、その背後にある設計意図や判断を読み解く必要がありました。

Phantom Handsは、この課題に対し、長期にわたるリサーチと試作を通して応えました。素材、仕上げ、構造、テキスタイルに至るまで、バワの思考の痕跡を丁寧にたどりながら、現代の技術や資源を用いて再構築を行いました。例えば、スリランカのテキスタイルブランドBarefootとの協働により、当時の生地の質感や色味を再解釈する試みも行われています。また、このプロジェクトの重要な特徴のひとつは、個々の家具を単体として扱うのではなく、それらの関係性に注目している点にあります。異なる建築に属していた家具を同一空間に配置した際、それらが互いに呼応し合う様子が確認されました。この発見は、バワのデザインが単なる個別の造形ではなく、より広い思考体系の中で成立していたことを示しています。

こうしたプロセスを経て生まれたコレクションは、単なる複製ではありません。それは、場所、気候、素材、人との関係性に対するバワの繊細な感受性を手がかりに、現代の条件の中で再編集されたものです。すなわちこのプロジェクトは、過去の形をなぞるのではなく、その背後にある態度を継承する試みであり、バワのデザインを現在に接続するための実践といえます。
ジェフリーバワ | Geoffrey Bawa (1919-2003)

スリランカの建築家ジェフリー・バワ(Geoffrey Bawa, 1919–2003)は、熱帯という風土とモダニズムを融合させた「トロピカル・モダニズム」の先駆者として広く知られています。アジアにおける地域主義建築の重要な潮流を築き上げた存在であり、その思想は今日の建築界においても高く評価されています。

1919年、スリランカ(当時のセイロン)のコロンボに生まれたバワは、イギリスのケンブリッジ大学で法律を学んだのち、弁護士としての道を歩み始めます。しかしその後、建築への関心を深め、ロンドンのAAスクール(建築協会建築学校)で建築を学び直しました。正式に建築家として登録されたのは38歳のときで、比較的遅咲きのスタートでした。帰国後の1950年代後半から本格的に活動を開始し、やがてスリランカ各地で数多くの公共施設、宗教建築、ホテル、教育機関、個人住宅などを手がけるようになります。代表作には、彼自身の実験の場であった住居兼アトリエ「No.11」や、「ベンドタ・ビーチ・ホテル(1967)」、「カンダラマ・ホテル(1994)」、さらにはスリランカ国会議事堂(1982)などが挙げられます。

バワの建築は、気候、地形、植物、既存の建物といった「その場所の文脈」に対する深い洞察をもとに設計されています。空間の構成においては、外部と内部を柔らかくつなぐ構造を得意とし、回廊、池、庭園などを通じて緩やかな境界を生み出しました。自然光や風の流れを巧みに取り込み、時の移ろいとともに表情を変える空間は、建築と環境との共生を実現しています。また、バワにとって「屋根」は建築の象徴的要素であり、屋根の形状や質感、スケール感が建物全体の印象を決定づけると考えていました。スリランカの伝統建築を参照しながらも、モダニズムの合理性や幾何学的構成を融合させることで、重層的でありながら洗練された美意識を持つ建築を数多く生み出しています。

素材の選定においても、現地の石材や木材、漆喰などを積極的に用いながら、職人たちとの協働を通じて質の高いディテールを追求しました。その一方で、植民地時代の宗教施設や修道院の保存・再生プロジェクトにも取り組み、建築文化の継承にも貢献しています。建築にとどまらず、庭園や家具、グラフィックデザインに至るまで、バワは総合的な空間演出にこだわりを見せました。その空間は、単なる視覚的な美しさだけでなく、人が自然とともに過ごすための「居場所」としての豊かさを宿しています。彼の建築思想は、地域性と普遍性のあいだをたゆたうものとして、多くの後進の建築家やデザイナーに影響を与え続けています。ジェフリー・バワは、「建築とは環境との対話であり、そこに生きる人々の営みを支えるものである」という視点を、静かに、しかし力強く提示し続けた建築家でした。

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▶︎ジェフリー・バワの関連ページ

アイテムコレクション一覧
JOURNAL Vol.1 : ジェフリー・バワ – De Saram House, 1986
JOURNAL Vol.2 : ジェフリー・バワ – Bentota Beach Hotel, 1967