JOURNAL Vol.11 : セルジュ・ムーユ「Droséra」1956年に生まれた、光と植物的造形の照明
1956年にセルジュ・ムーユがデザインしたテーブルランプ「Droséra」が、Editions Serge Mouilleによる世界限定100台の特別なエディションとして復刻されました。このたびCASA DEでは、国内正規代理店として、そのうち10台を本日より限定販売いたします。また、7月3日(金)にオープンする下北沢の期間店舗でも展示販売をおこないます。

1986年にデザインされた「Droséra」の復刻版 / ©︎CASA DE
「Droséra」は、セルジュ・ムーユの作品のなかでも、一般的なコレクションとして広く展開されたモデルではなく、ごく少数のみが制作された希少な作品として知られています。オリジナルの個体が市場に現れることはほとんどなく、現在では一部の書籍に写真が残る程度の、大変貴重な照明作品です。
その着想源については、パリの国立自然史博物館附属植物園であるJardin des Plantesを訪れた際の体験に由来すると伝えられています。「Droséra」という名は、食虫植物として知られるモウセンゴケ属の植物を想起させます。繊細でありながら、どこか鋭さを帯びた存在感。細く伸びる線、空間に向かって開かれる姿、そして光を受け止める面の構成には、自然物をそのまま模倣するのではなく、自然の構造や生命感を抽象化し、金属と光によって再構成しようとするムーユの姿勢が表れています。
セルジュ・ムーユは、フランスを代表する金属造形家であり、照明作品によって広く知られる存在でした。金属を扱う精緻な技術と、彫刻的な感覚をあわせ持つムーユの照明は、単に空間を照らすための器具ではありません。光、影、線、構造が一体となり、空間の中にひとつの造形を生み出す作品として、今日まで高く評価されています。
「Droséra」は、セルジュ・ムーユの作品のなかでも、一般的なコレクションとして広く展開されたモデルではなく、ごく少数のみが制作された希少な作品として知られています。オリジナルの個体が市場に現れることはほとんどなく、現在では一部の書籍に写真が残る程度の、大変貴重な照明作品です。
その着想源については、パリの国立自然史博物館附属植物園であるJardin des Plantesを訪れた際の体験に由来すると伝えられています。「Droséra」という名は、食虫植物として知られるモウセンゴケ属の植物を想起させます。繊細でありながら、どこか鋭さを帯びた存在感。細く伸びる線、空間に向かって開かれる姿、そして光を受け止める面の構成には、自然物をそのまま模倣するのではなく、自然の構造や生命感を抽象化し、金属と光によって再構成しようとするムーユの姿勢が表れています。
セルジュ・ムーユは、フランスを代表する金属造形家であり、照明作品によって広く知られる存在でした。金属を扱う精緻な技術と、彫刻的な感覚をあわせ持つムーユの照明は、単に空間を照らすための器具ではありません。光、影、線、構造が一体となり、空間の中にひとつの造形を生み出す作品として、今日まで高く評価されています。

Droséra : モウセンゴケ / ©︎CASA DE
ムーユの作品を特徴づけるのは、金属という硬質な素材でありながら、どこか有機的で、自然界の生物や植物を思わせるしなやかな佇まいです。幼少期から自然に強い関心を抱き、植物の葉脈や貝殻の成長、動物の骨格や関節といった細部を観察していたムーユにとって、自然は単なるモチーフではなく、構造を考えるための重要な源泉でした。
ムーユが黒い金属のフォルムへと向かった背景には、銀細工や金属加工を学んだ職人的な経験と、照明を空間の中で動く彫刻として捉える視点がありました。書籍『Serge Mouille: A French Classic / Un Classique Français』では、ムーユの造形世界について「有機的で、官能的な世界」と記され、昆虫や貝殻など、自然界の構造に近い感覚が見出されています。
実際に、彼の照明作品には「Moule(ムール貝)」「Conque(ほら貝)」「Œil(目)」「Coquille(貝殻)」「Escargot(カタツムリ)」といった、自然界の生物や形態を想起させる名称も見られます。そこには、自然界の形を直接的に写し取るのではなく、その構造や動きを丹念に観察し、金属の線と面へと昇華させる、ムーユの卓越した観察眼と造形感覚が表れています。
ムーユの作品を特徴づけるのは、金属という硬質な素材でありながら、どこか有機的で、自然界の生物や植物を思わせるしなやかな佇まいです。幼少期から自然に強い関心を抱き、植物の葉脈や貝殻の成長、動物の骨格や関節といった細部を観察していたムーユにとって、自然は単なるモチーフではなく、構造を考えるための重要な源泉でした。
ムーユが黒い金属のフォルムへと向かった背景には、銀細工や金属加工を学んだ職人的な経験と、照明を空間の中で動く彫刻として捉える視点がありました。書籍『Serge Mouille: A French Classic / Un Classique Français』では、ムーユの造形世界について「有機的で、官能的な世界」と記され、昆虫や貝殻など、自然界の構造に近い感覚が見出されています。
実際に、彼の照明作品には「Moule(ムール貝)」「Conque(ほら貝)」「Œil(目)」「Coquille(貝殻)」「Escargot(カタツムリ)」といった、自然界の生物や形態を想起させる名称も見られます。そこには、自然界の形を直接的に写し取るのではなく、その構造や動きを丹念に観察し、金属の線と面へと昇華させる、ムーユの卓越した観察眼と造形感覚が表れています。

©︎CASA DE
黒という色についても、「線を洗練させ、形を定義する」ための選択として語られています。ムーユが生み出した黒いフォルムは、単なる装飾としての選択ではありません。黒く塗装された金属は、器具としての存在感を過度に主張するのではなく、輪郭を際立たせ、光の方向や影のかたちを明確に浮かび上がらせるために用いられています。ムーユにとって黒は、光と影、そして空間に描かれる線を成立させるための、きわめて造形的な判断だったといえます。
こうした金属へのまなざしは、1950年代にムーユが照明デザインの分野へと活動の場を広げた後も、作品の根幹にあり続けました。1953年、ジャック・アドネから照明器具のデザインを依頼されたことをきっかけに、ムーユは光を扱う造形へと本格的に向かいます。しかしそれは、単に新しい照明器具をデザインするということではありませんでした。金属の線、可動する関節、角度を持ったシェードによって、光の向きや影の表情を空間の中で組み立てていく新たな試みでもありました。
1950年代は、ムーユが照明デザインにおいて最も重要な展開を見せた時期です。大きく伸びるアーム、昆虫の脚や植物の茎を思わせる構造、そして黒く塗装されたシェードの鋭い輪郭。彼の作品は、当時のフランスにおけるモダンデザインの文脈にありながら、合理性だけでは説明できない詩的な造形性を備えていました。
1985年のインタビューで、ムーユは自身の照明について「照明は動くべきである」と語っています。そしてそれは、「利用者の問題に応じて適応できるものでなければならない」ものであり、「単に光を得るために置かれる物体であってはならない」と述べました。この言葉は、1950年代に彼が取り組んだ照明が、固定された器具ではなく、使い手、建築、空間の関係に応じて変化する造形であったことをよく示しています。
その姿勢は、「Droséra」にも通じています。高さや角度を調整できる構造上の機能性を備えながら、植物のように開かれたフォルム、鋭さを帯びたシェードの輪郭、そこから漏れる光と影が、空間の中に独自の表情を生み出します。照明でありながら、壁面や周囲に影を描き出すその姿は、ムーユが光を単なる明るさではなく、空間を構成する重要な要素として捉えていたことを伝えています。
黒という色についても、「線を洗練させ、形を定義する」ための選択として語られています。ムーユが生み出した黒いフォルムは、単なる装飾としての選択ではありません。黒く塗装された金属は、器具としての存在感を過度に主張するのではなく、輪郭を際立たせ、光の方向や影のかたちを明確に浮かび上がらせるために用いられています。ムーユにとって黒は、光と影、そして空間に描かれる線を成立させるための、きわめて造形的な判断だったといえます。
こうした金属へのまなざしは、1950年代にムーユが照明デザインの分野へと活動の場を広げた後も、作品の根幹にあり続けました。1953年、ジャック・アドネから照明器具のデザインを依頼されたことをきっかけに、ムーユは光を扱う造形へと本格的に向かいます。しかしそれは、単に新しい照明器具をデザインするということではありませんでした。金属の線、可動する関節、角度を持ったシェードによって、光の向きや影の表情を空間の中で組み立てていく新たな試みでもありました。
1950年代は、ムーユが照明デザインにおいて最も重要な展開を見せた時期です。大きく伸びるアーム、昆虫の脚や植物の茎を思わせる構造、そして黒く塗装されたシェードの鋭い輪郭。彼の作品は、当時のフランスにおけるモダンデザインの文脈にありながら、合理性だけでは説明できない詩的な造形性を備えていました。
1985年のインタビューで、ムーユは自身の照明について「照明は動くべきである」と語っています。そしてそれは、「利用者の問題に応じて適応できるものでなければならない」ものであり、「単に光を得るために置かれる物体であってはならない」と述べました。この言葉は、1950年代に彼が取り組んだ照明が、固定された器具ではなく、使い手、建築、空間の関係に応じて変化する造形であったことをよく示しています。
その姿勢は、「Droséra」にも通じています。高さや角度を調整できる構造上の機能性を備えながら、植物のように開かれたフォルム、鋭さを帯びたシェードの輪郭、そこから漏れる光と影が、空間の中に独自の表情を生み出します。照明でありながら、壁面や周囲に影を描き出すその姿は、ムーユが光を単なる明るさではなく、空間を構成する重要な要素として捉えていたことを伝えています。

1986年に開催された『Jean Prouvé x Serge Mouille』展の図録 / ©︎CASA DE
ジャン・プルーヴェもまた、1986年『Jean Prouvé x Serge Mouille』展の図録に寄せた文章のなかで、ムーユについて「金属と鋼管の扱い方を心得ている」と評し、その表現が「グラフィックアートの領域にまで迫る」ものであったことを指摘しています。また、ムーユの照明について「驚くほど繊細であり、そのシルエットはほとんど線描画のような美しさ」とも記しています。実際にプルーヴェ自身も自宅でムーユのフロアランプを愛用していたことが知られており、その評価が単なる賛辞にとどまらないものであったことがうかがえます。
この言葉は、ムーユの照明が、単なるプロダクトデザインにとどまらず、金属によって空間に線を描くような造形であったことをよく示しています。同時にそれは、戦後フランスのモダンデザインにおいて、プルーヴェとムーユが共有していた素材へのまなざしにもつながります。プルーヴェが建築や家具において金属の構造的可能性を追求したように、ムーユは照明において、金属の線、可動する関節、光の方向性を通して、空間との関係を探り続けました。
「Droséra」は、そうしたムーユの探究を象徴する作品のひとつです。自然界の生命感を思わせる有機的なフォルム、金属によって精密に制御された構造、そして光と影が周囲に描き出す表情。そのすべてが、照明器具という枠を越えて、空間に置かれる小さな彫刻としての存在感を生み出しています。
ジャン・プルーヴェもまた、1986年『Jean Prouvé x Serge Mouille』展の図録に寄せた文章のなかで、ムーユについて「金属と鋼管の扱い方を心得ている」と評し、その表現が「グラフィックアートの領域にまで迫る」ものであったことを指摘しています。また、ムーユの照明について「驚くほど繊細であり、そのシルエットはほとんど線描画のような美しさ」とも記しています。実際にプルーヴェ自身も自宅でムーユのフロアランプを愛用していたことが知られており、その評価が単なる賛辞にとどまらないものであったことがうかがえます。
この言葉は、ムーユの照明が、単なるプロダクトデザインにとどまらず、金属によって空間に線を描くような造形であったことをよく示しています。同時にそれは、戦後フランスのモダンデザインにおいて、プルーヴェとムーユが共有していた素材へのまなざしにもつながります。プルーヴェが建築や家具において金属の構造的可能性を追求したように、ムーユは照明において、金属の線、可動する関節、光の方向性を通して、空間との関係を探り続けました。
「Droséra」は、そうしたムーユの探究を象徴する作品のひとつです。自然界の生命感を思わせる有機的なフォルム、金属によって精密に制御された構造、そして光と影が周囲に描き出す表情。そのすべてが、照明器具という枠を越えて、空間に置かれる小さな彫刻としての存在感を生み出しています。

シェード背面の接続部にエディション番号が刻印されている / ©︎CASA DE
世界限定100台の特別なエディションとなる本作品は、Editions Serge Mouilleによって復刻されました。各製品にはエディションナンバーが刻印され、正式な証明書が付属します。金属の支柱は高さ調整が可能で、シェードは角度を変えることで、光の向きや焦点を細かく調整できる構造となっています。また、中間スイッチを備えており、日常の空間でも扱いやすい仕様です。
Editions Serge Mouilleは、1999年にセルジュ・ムーユの妻であるジン・ムーユと、クロード・デルピルーによって設立され、ムーユの照明作品を正統に継承してきたエディションメーカーです。現在もフランスの職人による手仕事を重視し、ムーユが作品に込めた哲学と造形感覚を尊重しながら製作を続けています。それぞれの作品は、正統な復刻であることを示す仕様を備え、単なる復刻品ではなく、ムーユの作品世界を現代へ継承するための正式なプロダクトとして位置づけられています。
CASA DEでは、これまでにも歴史的なモダニズムデザインを、過去の名作としてではなく、現在へと続く文化として紹介してきました。「Droséra」もまた、1950年代のフランスで生まれた造形思想を、現代の空間の中であらためて受け止めるための作品です。
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製品名 :「Droséra」
デザイナー : Serge Mouille
デザイン年 : 1956
販売価格 ¥624,000(税込 ¥686,400)
発売開始日 : 2026年6月19日(金)
「Droséra」の商品詳細
(※数量限定となるため、おひとりさま1点までのご購入とさせていただきます。)
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世界限定100台の特別なエディションとなる本作品は、Editions Serge Mouilleによって復刻されました。各製品にはエディションナンバーが刻印され、正式な証明書が付属します。金属の支柱は高さ調整が可能で、シェードは角度を変えることで、光の向きや焦点を細かく調整できる構造となっています。また、中間スイッチを備えており、日常の空間でも扱いやすい仕様です。
Editions Serge Mouilleは、1999年にセルジュ・ムーユの妻であるジン・ムーユと、クロード・デルピルーによって設立され、ムーユの照明作品を正統に継承してきたエディションメーカーです。現在もフランスの職人による手仕事を重視し、ムーユが作品に込めた哲学と造形感覚を尊重しながら製作を続けています。それぞれの作品は、正統な復刻であることを示す仕様を備え、単なる復刻品ではなく、ムーユの作品世界を現代へ継承するための正式なプロダクトとして位置づけられています。
CASA DEでは、これまでにも歴史的なモダニズムデザインを、過去の名作としてではなく、現在へと続く文化として紹介してきました。「Droséra」もまた、1950年代のフランスで生まれた造形思想を、現代の空間の中であらためて受け止めるための作品です。
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製品名 :「Droséra」
デザイナー : Serge Mouille
デザイン年 : 1956
販売価格 ¥624,000(税込 ¥686,400)
発売開始日 : 2026年6月19日(金)
「Droséra」の商品詳細
(※数量限定となるため、おひとりさま1点までのご購入とさせていただきます。)
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